2018年の本たち

2018年も色々ありました。いまは実質ニートです。
振り返ると、今年も大変質の高い読書が出来たなあと思う次第です。
前半はやはり日本の哲学や歴史関係を読むことが多かったですが、後半は私の専門領域でゴツい学術書がドカドカと公刊され、嬉し泣きしながら財布を空にしたものです。
あーだこーだ考えているうちに不思議なジャンル分けになりましたが、以下今年読んだなかからおすすめをまとめておきます。

※2018/12/26に少し足しました。

学術書・ハードカバー類
  • 道場 親信『下丸子文化集団とその時代』

〈おれたちはものを言おう……/おれたちはものを書こう……/まともな人は/まともにしかものが言えないし/ひがんだものは/ひがんだようにしかものが言えない/(中略)/これは素晴しいことではないか!/おれたちはものを言おう……〉
『詩集下丸子』

これにてフランス語原典の既刊部分の訳が出揃ったことになる。みんなレヴィナスを読もうぜ

  • ジェラール・ベンスーサン『メシア的時間』

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待望の邦訳。難解ですが名著です。

  • 丸山 空大『フランツ・ローゼンツヴァイク:生と啓示の哲学』

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記念すべき日本で2冊目のモノグラフ。

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こちらも待望の邦訳。『世界年代』が日本語で!

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今後のスタンダードになるでしょう。

  • 島田 英明『歴史と永遠』

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今年のサントリー学芸賞受賞作。「豪傑」にして精緻。

入門書・ソフトカバー類
  • 『nyx』第5号

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ギンギラギンのさりげなくないやつ。飯田賢穂さんによるレポートのなかで言及していただき泣きました。ぜひ『[asin:4906811264:title]』とセットで。

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こちらも今年のサントリー学芸賞受賞作。分かるトマス、感じるトマス。

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英雄ではない、民たちにとっての明治維新

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西周にかんしてはちょっと首を傾げる箇所もあるが、広く読まれてほしい一冊

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これからのヘーゲルその1

  • ヘーゲル『世界史の哲学講義』(上・下)伊坂青司訳

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[asin:4065134692:detail]
これからのヘーゲルその2

  • 古田 徹也『言葉の魂の哲学』

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言葉の立体的理解へ

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渾身。だが平易な入門書

  • 三谷 博『維新史再考』

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[asin:410603803X:title]』とともに新しい明治維新入門として

一般書・文芸類
  • マーク・フィッシャー『資本主義リアリズム』

2018年で一番食らった本

  • 山岡 浩二『明治の津和野人たち』

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なぜ山陰の山奥から知性が生まれでたのか

  • 加藤 治郎『Confusion』(いぬのせなか座 山本浩貴+hレイアウト)

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そうぞう的なきょうどう作業

  • 岩倉文也『傾いた夜空の下で』

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常日頃からもっと売れろ!って念じてる

  • 千葉雅也『意味がない無意味』

評論集とも言うべきもの。「思弁的実在論と無解釈的なもの」は現在読めるもののなかで一番。個人的には森村論に批評家としての迫力を感じる。

  • 吉川浩満『人間の解剖はサルの解剖のための鍵である』

新時代の人類はどうなるのか

  • 山本 貴光『投壜通信』

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あらゆる読書人へ

  • メアリー・セットガスト『先史学者プラトン

[asin:4255010498:detail]
こういうのも楽しめるようになると楽しくなるよって本

  • 小川 哲『ゲームの王国 上下』

[asin:4152097019:detail]
日本SF大賞受賞作。面白すぎてあっという間に終わって悲しかったくらい

  • ケン・リュウ『折りたたみ北京』

珠玉のアンソロジー

  • トマス・スウェターリッチ『明日と明日』

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泣けるSFをどうぞ

....and more

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瀬下との連載が載っております。手前味噌だが、リレー連載「それぞれの町で」は、地方とか生業とかコミュニティとか本当に考えたい人は読んだ方が良いと思います。

  • 『Rhetorica #04 特集:棲家 ver. 1.0/0.0』

rheto4.rhetorica.jp
サイトから購入できますし、私から個人的に買うこともできます。私は
・ver. 0.0に自分たちの高校〜現在までの知的環境についての松本との対談を、
・ver. 1.0に津和野を典型とした盆地という土地にかんするひねくれたエッセイを、
それぞれ寄せています。

  • 『しししし2』

本屋発の文芸誌『しししし』/公式サイト – shishishishishishis……..
正式な全国発売は来年末ですが、双子のライオン堂さんをはじめ、一部書店さんで年内の先行発売もあるそうです。特集はドストエフスキー
私は、上でも紹介した加藤 治郎『Confusion』(いぬのせなか座 山本浩貴+hレイアウト)の書評のようなエッセイのようなものを寄稿させていただきました。豪華執筆陣ですので、ぜひよろしく。