2019年8・9月の本

遅くなりましたが、2ヶ月まとめての更新です。
増税前の駆け込み買いをしたので、ほんとうはもっと買っているのですが、手を付けられていないので、また来月以降に紹介します。正直忙しくてあまり読めていません。コメントも一言だけですんません。

「今月の本」のルール

  1. 毎月読んだ本をリストにしてブログを更新。
  2. 専門的な論文などは除く。
  3. 読んだと言っても、必ずしも全頁を読みきったことは意味しないし、再読したものもある。
  4. とはいえ、必ず入手し、本文に少しでも目を通すことが条件。
  5. コメントを書くかどうかは時間と体力次第。

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なかでもやはり日本語という問題、とりわけ空海論を興味深く読んだ。
細かい点だが、対談の途中に、キメ台詞的なものが抜き出されて再度大きなフォントで見出し的に再登場するのだが、それがやや読みにくいと思ってしまった。

  • 綿野恵太『「差別はいけない」とみんないうけれど。』

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以前から時評の明晰さやその筆力に、「すごいな」と思っていた論者の待望の単著。「アイデンティティ」と「シティズンシップ」の対比で読み抜く視座を出したこと、その明晰さ、それぞれもっと評価されてよいと思った。もちろん異論反論含め、議論が盛り上がることは大事だし、そのなかで綿野さんの議論もより洗練されていくことだろう。とはいえ、まずは新機軸を出した筆者に敬意を払いたいし、応援したい(えらそーですみません)。

  • 飛田 良文『明治生まれの日本語』

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最近文庫化されたと知って注文。明治期の日本語については、はじめの一冊として良いかもしれない。

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現代倫理学のホットなトピックについて、その最前線で研究している比較的若手の研究者の論考が揃っている。
長門さんと池田さんの現象学倫理学を巡る対談からは大変刺激を受けた。それについてはいずれ論文などで自分なりのアンサーを考えたい。

  • コリーヌ・ペリュション『糧』

フランスで活躍する研究者の記念すべき初邦訳。著者はこれまで政治思想や動物倫理や環境倫理などで数多くの業績があるトップ研究者と言って良い。本書の下敷きにあるのは、レヴィナスによる享受論である。本書は、これまでなかなかアクチュアルな問題とともに考えてこられなかったレヴィナスの思想を独自に解釈することで、新たな地平を切り拓いたと言える。

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ハイデガー哲学を時間性の観点から読みぬく第一部と、ハイデガーの時間論を独特な仕方で受け継いだフランスの哲学者を扱う第二部に分かれている。レヴィナスのところのみざざっと読んだだけだが、前記レヴィナスハイデガーとの格闘をフェアに、かつ丹念に追っており、レヴィナス研究者も勉強になる。ただ、贅沢を言うのであれば、前期と同じく、いやそれ以上に中期レヴィナスハイデガーとの対決には、時間性の議論も多く含んでいると思うので、その辺りをどう考えるかお聞きしたいし、私含めてレヴィナス研究者も考えなくてはならない。

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友人知人が参加しております。このボリュームでこの値段はすごい。もっとみんな買うべき。
友人らはベトナムホーチミンに取材に行ったが、大変刺激を受けたようだ。「資本主義的文物と社会主義の価値観」のなかで、現地のアーティストたちはどのようにもがきながら、作品をつくっているのか。それぞれ様々な歴史や制約のなかで、自分たちのビジョンを懸命に出そうとするアジアのアーティストたちを見ながら、自分たちにとっての制約やビジョンはなんであるのか、きちんとそれを言語化し、向き合っているのかと考えさせられる。

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時宜を得た一冊。ラグビーの基本的なルールはなんとか覚えたぞ!という非ラグビー経験者にして、観戦歴数年の私にとっては、これぞ待ってましたという本。一歩進んだ見どころや文化的背景まで、アツく解説してくれる。逆に超初心者には向かないが、超初級と中級の橋渡しになるような情報があるとないのでは大違いだと思う。

  • 甚野尚志・河野貴美子・陣野英則編『近代人文学はいかに形成されたか』

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日本における近代的な学知の形成を、新しきヨーロッパvs東アジア固有の伝統という硬直した二項対立ではない視座で眺めることを可能にする様々な論考が揃う。上原先生の「創造する翻訳―近代日本哲学の成長をたどって」がお目当てで購入し、まだ全部読めていないが、おおいに勉強させてもらえている。

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御恵贈いただきました。ありがとうございます。本格的には読めておりませんが、将来授業をやることになったとき、大変役たちそうです。

  • Eric S. Nelson and John E. Drabinski(eds.), Between Levinas and Heidegger

存在は知っていたが、手を付けられていなかった。どの論文もクオリティは高めだったので、しっかり読んで踏まえねば。