2019年10月の本

台風が過ぎたらすっかり秋を越えて冬という感じがします。

「今月の本」のルール

  1. 毎月読んだ本をリストにしてブログを更新。
  2. 専門的な論文などは除く。
  3. 読んだと言っても、必ずしも全頁を読みきったことは意味しないし、再読したものもある。
  4. とはいえ、必ず入手し、本文に少しでも目を通すことが条件。
  5. コメントを書くかどうかは時間と体力次第。
  • 宮野 真生子『出逢いのあわい』

御恵贈いただきました。ありがとうございます。
九鬼哲学がいかに生成していったのかを丹念に追いつつ、その偶然性の哲学の中核を見定める一冊。
偶然性という問題が哲学の問題としていかに重要な問いになりえるか、そしてなにより宮野その人がその問いに真摯に向き合い、粘り強く思考した筆致に感服した。

  • 宮野 真生子・磯野 真穂『急に具合が悪くなる』

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上で上げた本とともに読みました。まさに哲学者としての生を生き抜いた宮野さんの生のドキュメントであり、また語り合うとはいかなることかを磯野さんからは教わったように思う。ぜひセットで読むべきだろう。

  • 門脇 俊介『現代哲学の戦略』

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同書所収の「批判としての分割——多文化主義と同一性の罠」という論文が、実は西周論であると池田さんに教えていただき、すぐに読んだ。他にも「言葉の厚みとしてのコンテクスト——哲学の言葉の翻訳」も大変勉強になった。

  • 岩野卓司『贈与論』

[asin:479177213X:detail]
長年バタイユやマリオン、ブランショについて研究されてきた碩学によるもの。現代フランス思想において、いかに贈与という問題が大きな場所を占めているかが明晰に解きほぐされている。

[asin:4004317975:detail]
待ちに待ったベンヤミンの入門書。生涯からその著作内容までバランス良く触れられている。やはり筆者の狭い意味での専門である第二章が白眉だろうか。ここから関心のある領域に飛べるという意味で、良い入門書だと思う。

  • 飯田 隆『日本語と論理』

[asin:4140886005:detail]
「日本語は本当に非論理的な言語なのか?」や「日本語で哲学できるのか?」という問いは、明治の初期から繰り返し問われてきたことだが、分析哲学言語哲学)の碩学がそれに真っ向から丁寧に挑んでいる。

  • 斎藤 美奈子『日本の同時代小説』

ようやく積ん読から消化。60年代から10年代までの日本小説の見取り図。芥川賞受賞作など一世を風靡した作品が主に取り上げられるが、純文学のみならず、ノンフィクションや時代/歴史小説、SF、エッセイまで幅広く扱っている。
軽妙で鋭く、ときに毒のある筆致で語られるので、ぐいぐいと読めた。個人的には、これを読んで改めて明治大正の文学史を勉強してみたくなった。

シェイクスピアの作品はレヴィナスの著作でも度々引かれることもあって、学部時代から折りを見てちくまの松岡和子訳で読んだり眺めたりしていたが、ふとシェイクスピアその人や思想、背景なんかを知りたくなって読んでみた。
本書は私のような読者にはうってつけの一冊で、シェイクスピアの生涯や思想、彼が生きた時代の背景、作品解説と盛りだくさん。最新の研究成果に基づくものとのことで、はじめの一冊にはとても良いものだと思う。

  • 小川 哲『嘘と正典』

[asin:4152098864:detail]
気鋭の若手作家による短編集。表紙のマルクスが目を引くが、表題作にもなっている書き下ろしはエンゲルスについてのお話。
全部で6つの作品が収められているが、全体として「時間とそのズレ」がテーマになっているものと言っても良いだろう。マジックのタイムトラベル、血脈、過去と記憶、音楽、流行、歴史と、時の流れと断絶が様々な仕方で変奏される。それらの習作ないしはエチュードで鍛えた技巧が、最後の表題作で花開く、そんな短編集になっている。

  • A・ブラックウッド他『幽霊島 (平井呈一怪談翻訳集成)』

[asin:4488585086:detail]
先日京都に行った際に購入。こういう良質なフィクションを読む時間をもっと作りたいが、まだあまり読めていない。

  • 志垣 民郎『内閣調査室秘録』

[asin:4166612263:detail]
ベッドのなかでぼちぼち読んでる。

  • 倉田 剛『日常世界を哲学する』

[asin:433404428X:detail]
買ったもののまだ読めてないですすんません。。