2020年2月の本

あっという間の2月でした。発表の準備で論文をメインに読んでいたので今月は少なめ。というか研究費が出るまでは禁欲的にならざるをえないところもあり。

「今月の本」のルール

  1. 毎月読んだ本をリストにしてブログを更新。
  2. 専門的な論文などは除く。
  3. 読んだと言っても、必ずしも全頁を読みきったことは意味しないし、再読したものもある。
  4. とはいえ、必ず入手し、本文に少しでも目を通すことが条件。
  5. コメントを書くかどうかは時間と体力と気分次第。
  • 大村 敦志ら『民法研究ハンドブック』

在野ブックフェアにて。工藤さんおすすめの一冊。法学に特異な要素もないわけではないが、文系の研究や論文執筆のガイドとして勉強になる。

  • 青木 裕子・大谷 弘編『「常識」によって新たな世界は切り拓けるか』

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いただきもの。常識/コモン・センスの思想史的整理に加え、カントやテイラー、ハイデガーウィトゲンシュタインといった哲学者を常識という観点から読む多角的な内容になっていて、大変勉強になりました。

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良くも悪くも話題となったもの。千田論文についてはすでに多くの指摘がなされ、私が加えられることはないが、そもそも論考として不明瞭と言わざるを得ない。
『現代思想』の千田論考について - frrootsのtwitter補完メモ
千田有紀の「「女」の境界線をひきなおす 「ターフ」をめぐる対立を超えて」について - すべてを語らねばならぬ-上田雅子の日記
誰が「女」の境界線を引きなおすのか~現代思想、千田有紀さんの記事|少年ブレンダ|note

まだ全部読めていないが、北村氏の論考などはとてもクリアで勉強になったし、若手が中心の哲学関連も充実してした。ないものねだりも良くないが、個人的にはケア倫理関係があっても良かったと思う。

[asin:4150704619:detail]
言わずもがなの名著。むかし清水俊二訳で眺めて結局ちゃんと読めていなかった。よくもまあこんな素晴らしい小説を途中で投げ出せたものだ。すっかりハマってしまった。原文も読んでいないし、春樹訳の評価はきちんとできないが、これぞハードボイルドな作風や台詞回しも楽しめた。

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ロング・グッドバイ』でマーロウにハマってしまったので、評判どころを読んでいくことにした。
まだ若く、ハツラツとしたヒーロー的なマーロウを楽しめる。他の登場人物たちもくせ者ながら魅力的だ。

[asin:4150704627:detail]
マーロウシリーズ第2作。相変わらず読ませるが、人物の掘り下げにやや不満があり、マーロウのキャラもチャーミングにしすぎているきらいがある。『ロング・グッドバイ』という超名作を先に読んでしまうと、筆の滑り具合が気になってしまい、楽しめなかったわけではないが、やはりベストにはならないなという感想。

今のところは、ロング・グッドバイ>大いなる眠り>>さよなら、愛しい人という順位。そしてベスト1, 2は変わらないだろうという気はしている。

  • ルシア・ベルリン『掃除婦のための手引き書 ルシア・ベルリン作品集』

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友人諸氏に進められて。多くの読書家が絶賛していた訳がわかった。あとがきにもあるように、作品の多くは筆者自信の人生が元となっている。長さもバラバラな断片は走馬灯のようで、個別の短編と言えど、一人の女性の生として物語が連鎖していく様は、これまでにない読書体験だったかもしれない。魅力はやはり人物と情景(とりわけ広告!)の活き活きとした描写と時折胸を貫くような独特のユーモア。訳者の力も大きいのだろう。堪能しました。

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アリストテレスがなんと言おうと、哲学が束になってかかってこようと、煙草にまさるものはあるまい。

この台詞を読みたかっただけ。まったくその通りだ。

  • 『書くための名前のない技術 case 3 千葉雅也さん』

いろんなツールや執筆術を知ることができて面白かった。私が文章を書く際は、ここのところ、macの純正メモをジャンル別にカテゴライズして、そのなかに文献リスト、引用集、全体のラフスケッチをそれぞれ1つずつノートをつくって書き貯めていき、そろそろかなと思ったらワードに移る感じ。しかしこれにはやや限界を感じつつあるので、Scrivenerを入れてみようかなと思った。

  • 今井新『関内で暮らす二人について』

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関内はなんと言っても横浜スタジアムがあるし、思い出深い土地なので購入。関内文庫の展覧会も行きたかったが行けず通販にて。

  • みすず2020年1・2月合併号

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毎年恒例の読者アンケート号。この冊子で紹介されて関心をもったのは、『[asin:4794811136:title]』、『[asin:4560097011:title]』、『[asin:4622077922:title]』、『[asin:4409520776:title]』、『[asin:4814001460:title]』など。