2018年7月の本

夏ですね。クーラーのない昭和的住環境なので、だいぶきついです。
帰宅即シャワーに入ってバブ爽快シャワー(スーパーエクストラクール)を使い、出た後にすかさず冷蔵庫で冷やしたスプレータイプのシーブリーズ(フローズンミント)を全身にかけて扇風機の前に仁王立ちという儀式をしています。一瞬だけ北極に行ける。

今月で28歳になりましたが、実感は皆無。プレゼントをくださった方、本当にありがとうございます。
Amazonのセールに踊らされてちょっと買いすぎましたね。火の車です。バタバタしているので、コメントは少なめですが、超豊作の月でした。

「今月の本」のルール

  1. 毎月読んだ本をリストにしてブログを更新。
  2. 専門的な論文などは除く。
  3. 読んだと言っても、必ずしも全頁を読みきったことは意味しないし、再読したものもある。
  4. とはいえ、必ず入手し、本文に少しでも目を通すことが条件。
  5. コメントを書くかどうかは時間と体力次第。
  • 若林 恵『さよなら未来――エディターズ・クロニクル 2010-2017』

boo社クルーたちから誕生日プレゼントでもらいました!
気になってはいたが、ついつい手を付けられずにいたので嬉しい選書でした。
岩波書店の単行本で「ほんとに」とか「めっちゃ」を使った初の本かもしれない。
ひとつひとつが短いテクストなので、隙間時間に読めていい。

  • 吉川浩満『人間の解剖はサルの解剖のための鍵である』

吉川さんよりいただきました!タイトルにもなっているマルクスの一節は、scriptaの連載で目にして面白いなと思っていたところ。人間を問うにあたって、これだけ広大な領域の知見を扱うことのできる筆力には脱帽。なお、さらに『人間本性論(仮)』という本を準備中とのこと!

誕生日プレゼントでいただきました!
『資本主義リアリズム』を読んでぜひこれもと思っていたところであり、大変タイムリーで嬉しいです。

誕生日プレゼントでいただきました!
実はアレントを去年から少しずつ読んでおり、これまたぐっとくるプレゼントでした。

  • 『もうすぐ絶滅するという煙草について』

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誕生日プレゼントでいただきました!
私は結構ヘビーな喫煙者でして、田舎では随分気楽に吸えますが、都会に戻る度に肩身の狭せに驚くばかり。これぜったいエピローグとかでかっこつけれるやつやん。

  • 西成彦編訳『世界イディッシュ短篇選』

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誕生日プレゼントでいただきました!
この分野が日本語で読めるなんて!という感動もののお仕事であり、ゆっくり頁をめくりたいと思います。

  • カンタン・メイヤスー『亡霊のジレンマ』

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訳者のお一人である岡嶋隆佑さんからいただきました!
とりわけ同名のタイトルで訳された論文は、メイヤスーのメシア論とも言い得るもので関心があります。

Oeuvres complètesの既刊部分がこれですべて訳されたこととなった。一応当初の予定では、第4巻以降、既刊テクストの校訂版が出るはず。『著作集』はいわゆる草稿や講義ノートが中心であり、徐々にこれらを踏まえた研究も出始めている。

  • 斎藤 慶典『私は自由なのかもしれない』

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サバティカルの成果その2とのこと。斎藤先生が再びハイデガーとその「子ども」たち(ヨナス、アレントレヴィナス)とがっぷりよつで取り組んだものと言える。まだちゃんと読めていないので、今度にでも。

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Amazonプライムデーでつい。前からブランショはまあ読んだほうが良いよねと思いつつ、主著ともいえるこちらには手を出せていなかったので、まあいいかな。

  • 堀川 敏寛『聖書翻訳者ブーバー』

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ブーバー研究の新鋭によるもの。
レヴィナスの図式だとブーバーはかなりの程度、狭められた仕方で解釈されがちなので、こういった本格的な研究を日本語で読めるのは嬉しい。

  • 古田 徹也『言葉の魂の哲学』

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こちらは発売当初から読みたい読みたいと思っていたもの。某氏をこの本を起点に、自然言語じゃないと哲学はできないんじゃないか、となると翻訳というのはやはり哲学においても大問題にすべきみたいなことを話したが、お互い酔ってたので詳細を忘れてしまった。

  • 島田 英明『歴史と永遠』

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まだ読み切れていないが、圧巻の大作。この射程の広さと記述を裏打ちする史料の読みはちょっとゾワゾワしてしまった。

  • 『思想 2018年 07 月号』

ベンヤミン特集号。大変豪華で保存版決定。
小林哲也ショーレムベンヤミン――「修復」のシオニズム,「忘却」への「注意深さ」」はぜひ読みたいと思い、購入。

[asin:4909237178:detail]
リレー連載「それぞれの町で」はEVERY DENIMの山脇耀平さんの回。垂直的な関係に対する水平的関係の構築と、内部者と外部者のコラボレーションという言うは易く行うは難しの典型で、山脇さんらの苦闘に思いを馳せた。他にも#MeToo運動については、POSSEらしく、売春・女性専用車両・セクハラとユニオンという切り口から。どうにも、とみに最近、今生きている社会の汚さに気分が沈んでしまう。もちろんずっと前からそうだったわけで、問題が問題として浮上したことを好機と捉えても良いわけだけれども。

  • エミリー・アプター『翻訳地帯』

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先月購入していたが、手をつけるのが遅くなった。翻訳学では名著と名高い一冊。
大まかな内容については、他の文献で知っていたが、いざ読むとスリリングな読書体験だった。哲学、政治、文学、史学、言語学, etc.と翻訳学のもつダイナミズムを体感できる。

  • 高坂 史朗『東アジア思想対話』

[asin:4831513954:detail]

  • 朝倉 友海『「東アジアに哲学はない」のか』

[asin:4000291378:detail]

  • 藤田 正勝ら編『世界のなかの日本の哲学』

[asin:4812205166:detail]

[asin:4790715795:detail]

  • 末木 文美士『哲学の現場 日本で考えるということ』

[asin:479870119X:detail]

  • 田中 久文『日本の哲学をよむ』

[asin:4480096647:detail]
これらは、積み残し日本哲学・日本思想系。京都学派にもう少し詳しくなって、自分なりのとっかかりを作っておきたい。今のところは、やはり「翻訳」がそうなるのかなと。
ただ、ここ数年、日本哲学にかんする本をそれなりに収集して読んだが、その多くが西周の名前はあっても、時候の挨拶のようなレベルか希哲学の希をなくしたことへのdisばかりで悲しい。批判自体はまったく問題ないが、絶対テクスト読んどらんやろという事実誤認も目につく。

  • 瀧川 裕英『問いかける法哲学

[asin:4589037882:detail]
多くの方が褒めていたので。法学の分野も周まわりで興味があり、研究会でも話題が出るので、素地を作りたいと思っている。

[asin:4065118514:detail]
これも名著と言われていたので。これからちゃんと読みます。

  • 蓮實 重彦『反=日本語論』

少しイメージとちがったなあ。

[asin:459407894X:detail]
Kindleセールにて。
自称デカルト大好きっ子なので、読もう読もうと思いつつ、先延ばしにしていた。
ていねいで読みやすい語り口だが、内容は質実剛健。研究成果をしっかりを踏まえられた入門書で、多くのひとに手にとってもらいたいと思った。

[asin:4062923831:detail]
Kindleセールにて。
これも圧巻のお仕事。これだけの情報量を整理し、提示してくれるものをこの値段で日本語で読むことができるのは幸せなことだ。

[asin:4062586746:detail]
Kindleセールにて。
ラカンを哲学として読む試み。時代順にその思考を捉えようとするもので、ラカニアン諸氏の反応は知らないが、私には有益だった。

[asin:4065120942:detail]
Kindleセールにて。
この分野の第一人者による入門書。秦先生は『[asin:B077RR5QRR:title]』も出している。要するに、(いわゆる)旧約聖書ヘブライ語)をはじめてギリシア語に訳したものだが、一般には「現存する最古の体系的聖書」という強いインパクトのもと注目されることはあまりなかったのではないか。入門書として語りを目指した結果なのか、少々ぶっきらぼうな口調で、ユダヤ教キリスト教そのものにはつとめてドライというか、淡白な印象をもった。

[asin:B00H6XBHMY:detail]
Kindleセールにて。
高校生の頃だろうか、春樹を読んで知り、どんなもんじゃいと野崎訳で読んだ。正直に言うと、そのときには面白さを感じられなかった。今回の小川訳は、これ一冊で堪能してほしいという訳者の思いを感じた。特徴的な地名や建物名はセリフのなかで意訳的に説明され、マイルはキロメーターに換算し、お馴染みの"old sport"も特段訳出されていない。翻訳を読んでそこに微かな異物感を感じ、原典を手に取るという通路は狭くなったが、すでに複数訳があるなかでの新訳ということであれば、頷ける意図であろう。

[asin:B00H6XBHQ0:detail]
Kindleセールにて。
冒頭のがちょっとつまらなくて、まだほとんど読めていない。今後移動のときなんかに。