読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

2017年2月の本・追記あり

今月の本です。ゆるゆる続けます。
書籍購入予算が尽きたのもあって、今月はそれほど新しい本を購入できなかった(多分来月も)。

  • 『みすず』2017年1・2月合併号(読書アンケート特集号)

www.msz.co.jp
毎年のお楽しみ。基本的には楽しんだが、お友達推薦とみすず推薦が例年にも増して多く、個人的には今年は豊作とは言えなかった。
人文学分野では、カルロ・ギンズブルグ『ミクロストリアと世界史――歴史​家の仕事について』や草光俊雄『歴史の工房――英国で学んだこと』を挙げている人が多かった印象。
三浦信孝編『戦後思想の光と影―日仏会館・戦後70年記念シンポジウムの記録』や瀧井一博『渡邉洪基:衆智を集むるを第一とす』、大浦康介『対面的: 〈見つめ合い〉の人間学』などはぜひ手に取りたいと思った。
なお、私が昨年読んで推していた本のなかでは、昨年ご一緒にお仕事させていただいた山本貴光さんの『「百学連環」を読む』を宇宙物理学がご専門の佐藤文隆さんが、菅野賢治さんの『フランス・ユダヤの歴史』を『ブーバーとショーレム』という名著をお書きの上山安敏さんがそれぞれ挙げておられました。
ms141.hatenablog.com

版元が水声社のため、amazonでは中古でしか買えませんが、hontoなどで購入できます。
発売されてすぐに買ったのだけど、読めたのは2月に入ってから。
フッサール倫理学研究の最前線。必読です。
レヴィナスの(特異な)倫理を「倫理学」として提示するという課題を考える上でも参考になるかもしれません。

生きるユダヤ教―カタチにならないものの強さ

生きるユダヤ教―カタチにならないものの強さ

twitterで教えていただいたもの。
ユダヤ学が専門のご夫婦による入門書で、お二人ともヘブライ大学にてPh.Dを取得されています。
amazonでは現在品切れのようだけれど、こちらもhontoや教文館のサイトで買えます。
ユダヤ教の入門書というと、通常歴史や教典の内容解説がメインとなりますが、こちらの本はユダヤ教徒の生き生きとした生活実践(第3章)にも光を当てているのが特徴と言えます(その分歴史は15頁ほどのみ)。
個人的には、日本語であまり接することのできないテクストを長めに引用している第5章や典礼詩(ピユート)の紹介(第6章)がありがたかったです。
→ブックガイドに加えておきました。
ms141.hatenablog.com

時間の非実在性 (講談社学術文庫)

時間の非実在性 (講談社学術文庫)

待望の翻訳と言っても良いでしょう。訳者の永井先生が述べている通り、もはや本体は氏による注解と論評だろう。

  • きたみ りゅうじ『フリーランスを代表して 申告と節税について教わってきました。』

  • 渡辺義則『自分ですらすらできる確定申告の書き方』

自分ですらすらできる確定申告の書き方平成29年3月15日締切分

自分ですらすらできる確定申告の書き方平成29年3月15日締切分

確定申告などのために。読んだら少し大人になった気がする。

南方熊楠 地球志向の比較学 (講談社学術文庫)

南方熊楠 地球志向の比較学 (講談社学術文庫)

今年は熊楠生誕150周年ということもあり、再読。熊楠入門には、水木しげるの『猫楠』なんてのも良い。
猫楠―南方熊楠の生涯 (角川文庫ソフィア)

猫楠―南方熊楠の生涯 (角川文庫ソフィア)

徹底討論 市田良彦・王寺賢太編『現代思想と政治』@京大人文研

徹底討論 市田良彦・王寺賢太編『現代思想と政治』@京大人文研

出張の移動中に読んだ。7時間に渡る討議をまとめたもの。
大規模なシンポジウムがのちに論集となって出版されることは珍しくないが、専門性が高すぎるのもあって高価になりがちで、ときには開催後数年になって出版されることもあるので、こうして素早く電子版で廉価に配布されるのは悪くないと思う。

  • atプラス31 特集「他者の理解」

atプラス31

atプラス31

  • 大浦康介『対面的』

対面的: 〈見つめ合い〉の人間学 (単行本)

対面的: 〈見つめ合い〉の人間学 (単行本)

他者(論)という言葉はもう手垢まみれで、私も辟易していた部分があり、それはレヴィナス研究者界隈でもここ数年ある程度共有されていたように思える。しかしやはり『全体性と無限』を本気で読み直そうとするには避けて通れない。
レヴィナスのテクストに寄り添った細かい注釈をやめるつもりはないが、ここ一年で良くも悪くも少し距離感が出来てきて、もう一度他者論を考え直したくなってきている。そんなこともあって手に取った。
前者では、熊谷晋一郎さんの巻頭論文が大変勉強になった。他者論という問題系で、個人の能力に帰属させるものと外的環境に帰属させるものの峻別やその関係はなるほどと思うところがあった。その他の論考も読み応えがあって、当たりの巻。
後者は澤田直先生が薦めていたので購入。「対面」や「顔」をめぐって様々な領野を縦横無尽に遊泳する筆法が楽しめる。理論的であることと具体的であること、切断と連続のちょうど中間のような流れが心地よく、時に鋭い指摘にはっとさせられる。ただ、「レヴィナスの〈顔〉」から「動物にも顔はあるか」のデリダ論の流れはやや古く教条的な読解だったのが少し残念。この筆者ならば「常識的な」読解を越えて新たな層を見せることができたのでは?と。

漢文の話 (ちくま学芸文庫)

漢文の話 (ちくま学芸文庫)

神保町の古本屋で購入。
古文漢文をそれなりのレベルまできちんともっていくのが今年度前半の目標。

  • ウエイン・W・ダイアー『自分のための人生』

自分のための人生 (知的生きかた文庫)

自分のための人生 (知的生きかた文庫)

「愛☆津和野ブクブク交換会」という最高にエモい会があるのですが、そこでいただきました。
これまで自己啓発書の類を読んだことがないので、楽しみでもありおそろしくもあり…
まだちょっとしか読めていないので、これからゆっくり読んでみます。

  • 西周『日本語典稿本』福羽美静写本(明治3年)、静嘉堂文庫所蔵、マイクロ写真部撮影版

格安で手に入れたので、ちょっと調査中。一見したところ全集にも入ってないし、位置づけがよくわからん。
f:id:ms141:20170201194436j:plain
【追記】
森鷗外「西周伝」に、西の日本語関係論として「日本文典」(二巻)なるものが記されており、当初はそれかなと思っていたのですが、確認する手立てがありませんでした。しばらくして、どうやら「ことばのいしずえ」には福羽美静による写本があり、それが「日本語典稿本」とか「日本語典」と呼ばれていることがわかりました(cf. 福井久蔵『日本文法史 増訂』)。
四苦八苦しながら読んでみると、やはりこの「日本語典稿本」が「ことばのいしずえ」の「まきのふたつめ」以降の記述とほぼ同一であることが判明しました。以下、画質は悪いですが写真を載せておきます。
f:id:ms141:20170228115533j:plainf:id:ms141:20170228115548j:plain
「日本語典稿本」に「まきのふたつめ」以前の記述は見当たらないのは、西が福羽に原稿を渡しそびれたのか、はたまた福羽が不要と判断したのか、ちょっと不明ですが、これにて一応一件落着。

この稿本、ぶっちゃけヤフオクでgetしたわけですが、なんでこんなものが出回ったのか…
【追記の追記】
上のことは私が隙間時間で調べたことですが、既に蓮沼啓介先生が調べつくされておりました…ひょえー
→蓮沼啓介「西周の日本語論」, 『神戸法学年報』 25, 2009年, pp. 133-178.