私家版 西周簡易ブックガイド

個人HPで公開していたものですが、こちらに転載し直します。

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写真は西周旧宅。彼の故郷、津和野にあります。撮影者は私。

簡易的な西周の一次文献と二次文献の紹介です。
より詳しい文献情報は下記を参照(まだ作業中)。
docs.google.com

私家版 西周簡易ブックガイド

一次文献

 西周(1829-1987)は現在の島根県津和野町出身の啓蒙思想家であり、幕末から明治初期にかけて、西欧諸学の翻訳や憲法草案の作成、軍人勅諭の起草など幅広い分野で活躍した。そんな西の多岐に渡る業績を知るためには、やはり大久保利謙編の『西周全集』を紐解くのが最良だろう。しかし残念ながら、現在『西周全集』は新品では手に入らず、古書価格も高騰してしまっている。ただ、現在でも研究で使用される重要なものであるので、以下目次を転記しておく。なお一部旧字は新字に直した。

西周全集〈第1巻〉哲学篇 (1960年)

西周全集〈第1巻〉哲学篇 (1960年)

・第一巻(1960)
【哲学篇】
徂徠学に対する志向を述べた文、西洋哲学に対する関心を述べた松岡隣次郎宛の書簡、津田真道稿本「性理論」の跋文、西洋哲学史の講案断片、開題門、霊魂一元論、生性発蘊、生性剳記、譯利学説、尚日剳記、哲学関係断片、百一新論、復某氏書、学原稿本、五原新範、致知啓蒙、知説、人智論、情智関係論、美妙学説、教門論、人世三宝説、幸福ハ性霊ト形骸上ト相合スル上ニ成ルノ論、学問ハ淵源ヲ深クスルニ在ルノ論、論理新説、心理説ノ一斑、理ノ字ノ説、道徳略論

・第二巻(1961)
【法学・政治篇】
万国公法、性法略、五科学習関係文書、原法提綱、議題草案、泰西官制説略、憲法草案、駁舊[旧]相公議一題、燈影問答、政略説、英主比較論、人主比較論、自主ハ自由ニ成ルノ説、法学関係断片、学士匜令氏権利争闘論
【社会・経済篇】
経済学、海関税ノ説、社会党論ノ説
【教育篇】
養利私言稿本、徳川家兵学校掟書、徳川家沼津兵学校追加掟書、追加沼津兵学校掟書(草稿本)、文武学校基本並規則書、育英舎則、東京師範学校ニテ道徳学ノ一科ヲ置ク大意ヲ論ス、東京師範学校ニテ法令学ノ科ヲ置ク大意、師範学校卒業式ノトキ卒業生ニ告クル文、東京大学卒業証書授与式演説、才能偏僻生於作用之反覆説、和蘭大学法令
【言語・ 国語篇】
洋字ヲ以テ国語ヲ書スルノ論、日本文学会社創始ノ方法、加藤先生博言学議案ノ議、ことばの いしずえ

・第三巻(1966)
【軍事篇】
兵家徳行、兵賦論、軍人訓戒草稿、軍人勅諭草稿、軍人訓戒関係稿本、朝鮮征討総督への勅語草稿、出師上諭、上隣邦兵備略表、軍律草稿批評、陸軍定額滅却に付意見草案(代作)、騎兵護衛の解除を乞う上奏文案(代作)
【諸文集】
大書院進読子適衛章、大書院試読前出師表、御前進読天時不如地利之章、杞憂竑議自叙草稿、丁巳十月草稿、藩主への建言、随筆、非学者職分論、煉火石造ノ説、愛敵論、情実論、秘密説、内地旅行、国民気風論、大臣論、津田真道「開化ヲ進ル方法ヲ論ス」書評、鳥尾小彌太『国勢因果論』書評、東京学士院院長就任演説、森全権公使ヨリ送致セル文書ノ儀ニ付会院諸先生へ協議の件(ママ)、交詢社創立会祝詞交詢字義、紀年会の祝詞、演説会ノ説、人物雑爼、短文、序文集
【紀行及詩歌】
和蘭紀行、和蘭より帰路紀行、詩歌集
【日記及書簡】
日記断片、明治元年日記断片、明治三年日記断片、明治十五年日記、明治十六年日記、明治十七年日記、明治十八年日記、明治十九年日記
松岡隣宛書簡、加藤弘之宛書簡、津田真道宛書簡、新聞薈叢、中村正直宛書簡、石黒忠悳宛書簡、中村秋香宛書簡控、山邊丈夫宛書簡、寺田福壽宛書簡、阿保友一郎宛書簡、西紳六郎宛書簡、相澤朮(湛庵)宛書簡、岡野周吉宛書簡、永見裕宛書簡、山縣有朋宛書簡、津田真道宛書簡追加
【雑纂】
西家譜略、和蘭紀行追加、西家系図、西家系譜、家系譜、奉願口上覚、御役御免奉願願候書付、西紳六郎養子縁組認可書、家禄関係書類、日記断片追加、東京学士会院文書抄、御支配明細帳抄、西時義(壽雄)墓碑銘、履歴集、辞令集、伝記資料集、西周ニ関スル書類扣、貴族院議員辞職願

西周全集〈第4巻〉 (1981年)

西周全集〈第4巻〉 (1981年)

・第四巻(1981):
【百学連環】
百学連環、百学連環覚書

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 もちろん、全集以外にも西周のテクストに触れることは可能である。そこで以下では、手に入りやすいものを中心に挙げる。手軽なものをなにか1,2冊購入する場合は、収められている文献の質量ともに突出している『明治文学全集』の3明六雑誌 上中下』推したい。

西周篇:百一新論、復某氏書、随筆、百学連環(総論)、知説、人生三宝説、教門論、国民気風論、洋字ヲ以テ国語ヲ書スルノ論、日本文学会社創始ノ方法、社会党論ノ説、兵家徳行

  • 『明治文学全集 第79巻 明治藝術・文學論集』, 筑摩書房, 1975年.

西周篇:美妙学説

明六雑誌 (上) (岩波文庫)

明六雑誌 (上) (岩波文庫)

明六雑誌〈中〉 (岩波文庫)

明六雑誌〈中〉 (岩波文庫)

明六雑誌〈下〉 (岩波文庫)

明六雑誌〈下〉 (岩波文庫)

西周:百一新論、兵家徳行、兵賦論(抄)、『明六雑誌』より、自伝草稿

【追記】

Google booksにて閲覧&ダウンロードできます。
西周哲学著作集 - 西周, 麻生義輝 - Google ブックス

二次文献

 西周や明治初期の哲学にかんする著作は既に多数出版されているが、ここでは個人的におすすめのものを紹介する。

評伝

ちなみに、鴎外による「西周伝」をもっと気軽に読みたいという方には現代語訳もあります。☞西周関連文献リストの【論文】→【翻刻・現代訳】の欄を参照。

西周―兵馬の権はいずこにありや (ミネルヴァ日本評伝選)

西周―兵馬の権はいずこにありや (ミネルヴァ日本評伝選)

近代日本哲学の祖・西周――生涯と思想 (文藝春秋企画出版)

近代日本哲学の祖・西周――生涯と思想 (文藝春秋企画出版)


入門

「百学連環」を読む

「百学連環」を読む

  • 北野裕通「「哲学」との出会い―西周」, 藤田正勝編『日本近代思想を学ぶ人のために』, 世界思想社, 1997年, pp. 4-23.

日本近代思想を学ぶ人のために

日本近代思想を学ぶ人のために

明治思想史―儒教的伝統と近代認識論 (1978年)

明治思想史―儒教的伝統と近代認識論 (1978年)

研究書(抑えるべき6冊)

西周と日本の近代

西周と日本の近代

西周の政治思想―規律・功利・信

西周の政治思想―規律・功利・信

明治哲学の研究――西周と大西祝

明治哲学の研究――西周と大西祝

  • 小泉仰『西周と欧米思想との出会い』, 三嶺書房, 1989年.

西周と欧米思想との出会い

西周と欧米思想との出会い

近代日本の政治構想とオランダ

近代日本の政治構想とオランダ

論文(唸った3本)
  • 小玉齊夫「西周と「哲学」・粗描」, 『論集』10, 駒澤大学外国語部, 1979年, pp. 37-52.
  • 上原麻有子「西周の哲学——翻訳的探究を経て新たな知の想像へ」, 藤田正勝編『思想間の対話 東アジアにおける哲学の受容と展開』, 法政大学出版局, 2015年, pp. 153-172.

  • 手島邦夫「西周の訳語の定着とその要因」, 『国語学会2001年 度春季大会要旨集』, 日本語学会, 2001年, pp. 54-61.