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新大学生に送ったブックリスト

ブックガイド その他

 現在私は島根のとある街で塾講師をしながら糊口をしのいでいるのですが、その生徒の一人が関西の名門私大の歴史学科にAO試験で見事合格しました。
卒業まで時間のある生徒氏からおすすめの本を訊かれたので、以下のブックリスト作って渡したところ、結構喜んでくれたので今後も高3生には一人ひとりブックリストを押し付けてみようかなあと思っています。
以下その転載です。その生徒の興味関心に合わせたものですが、人文系新入生にはある程度通用するものになっているんじゃないかと思っています。

追記
先を越されてしまいましたが、その生徒氏には同僚の id:seshiapple
新大学一年生にオススメした18冊 - おどりのようなものを加えて送りました。一応ざっとお互い確認して重複はなくすなどしました。

※なおその生徒宛へのメッセージなどは省いております。
※まずはじめの一冊に読んでほしいものや個人的におすすめのものはアマゾンのリンクを貼ってみました。

◯「大学生になる」ために…

大学生になると、レポートや論文の提出が求められる。

理科系の作文技術 (中公新書 (624))

理科系の作文技術 (中公新書 (624))

新版 論文の教室―レポートから卒論まで (NHKブックス No.1194)

新版 論文の教室―レポートから卒論まで (NHKブックス No.1194)

新版 大学生のためのレポート・論文術  (講談社現代新書)

新版 大学生のためのレポート・論文術 (講談社現代新書)

のなかから一冊は絶対に読んで欲しい。
『理科系の作文技術』はこの分野のベストセラーで、理系文系問わず「研究」のための文章術が学べる。戸田山や小笠原のものは、インターネットを活用した研究法も載っていておすすめ。本屋やネットで見てみて自分に合いそうなものを買ってみよう。
 その上でさらに、「そもそも研究して論文を書くってなに?」ということに関心を持ったら、次の本にも挑戦するべし。少なくとも卒論執筆の前には目を通して欲しい。
論文ゼミナール

論文ゼミナール

著者は美学・藝術学の日本の権威。同じ著者の『美学への招待』や『タイトルの魔力』(ともに中公新書)も大変面白い。

◯歴史系

・歴史(学)とはなにか?

歴史とは何か (岩波新書)

歴史とは何か (岩波新書)

歴史学ってなんだ? (PHP新書)

歴史学ってなんだ? (PHP新書)

大戸 千之『歴史と事実―ポストモダン歴史学批判をこえて』京都大学学術出版会、2012年
神山 四郎『歴史入門』講談社現代新書、1965年
自分のなかに歴史をよむ (ちくま文庫)

自分のなかに歴史をよむ (ちくま文庫)

ジョルジュ デュビー『歴史は続く』松村 剛訳、白水社、1993年
遅塚 忠躬『史学概論』東京大学出版会、2010年
 カーのものはこの分野の不朽の名著。歴史を学ぶ者は必読。大戸と小田中のものは現代思想を踏まえたものになっている。神山のものは地味だが、隠れた名著。下二つは大学生になってからぜひチャレンジしてほしい。


・歴史家の仕事

新版 歴史のための弁明 ― 歴史家の仕事

新版 歴史のための弁明 ― 歴史家の仕事

カルロ・ギンズブルグ『裁判官と歴史家』上村 忠男・堤 康徳訳、ちくま学芸文庫、2012年
 歴史家ってなにをする人なのか、古い文書を読むだけ?ただ事実を書いている?善悪も判定してる?そんな疑問をもったらこれらを。


・新しい歴史学

銃・病原菌・鉄 上下巻セット

銃・病原菌・鉄 上下巻セット

木畑 洋一『二〇世紀の歴史』岩波新書、2014年
羽田 正『新しい世界史へ――地球市民のための構想』岩波新書、2011年


・歴史哲学

岩波講座 哲学〈11〉歴史/物語の哲学

岩波講座 哲学〈11〉歴史/物語の哲学

高橋 哲哉『歴史/修正主義』岩波書店、2001年
野家 啓一『歴史を哲学する――七日間の集中講義』岩波現代文庫、2016年
アーサー C.ダント『物語としての歴史―歴史の分析哲学』河本 英夫訳、国文社、1989年
ヴァルター ベンヤミン『[新訳・評注]歴史の概念について』鹿島 徹訳、未来社、2015年
 個別の歴史よりも「歴史」ってそもそもなんなんだということを深く問いたいなら、この分野に進もう。


・中国史関連
陳舜臣 『中国の歴史(全七巻)』 講談社文庫

宮崎 市定『科挙―中国の試験地獄』中公新書、1963年
岡本 隆司『中国の論理 - 歴史から解き明かす』中公新書、2016年
 陳舜臣 『中国の歴史』を読破できればとりあえず怖いものはない。小説で読み切りたいなら『小説 十八史略』もおすすめ。とりあえず一冊なら上田のものを。


・優れた(広義での)歴史書を読む

フランス革命―歴史における劇薬 (岩波ジュニア新書)

フランス革命―歴史における劇薬 (岩波ジュニア新書)

猫の大虐殺 (岩波現代文庫)

猫の大虐殺 (岩波現代文庫)

佐藤 次高『イスラームの「英雄」 サラディン講談社学術文庫、2011年
加藤 周一『日本文学史序説(上・下)』ちくま学芸文庫、1999年
丸山 真男『日本の思想』岩波新書、1961年
中井 久夫『西欧精神医学背景史』みすず書房、2015年
奈良岡 聰智『対華二十一ヵ条要求とは何だったのか――第一次世界大戦と日中対立の原点』名古屋大学出版会、2015年
藤野 裕子『都市と暴動の民衆史 東京・1905-1923年』有志舎、2015年
J・G・A・ポーコック『島々の発見―「新しいブリテン史」と政治思想―』犬塚 元訳、2013年
藤田 省三『維新の精神』みすず書房、1967年
 興味のあるものから浴びるように読んで欲しい。一応読みやすい順。

◯その他教養

・思想 宗教系

ヨーロッパ思想入門 (岩波ジュニア新書)

ヨーロッパ思想入門 (岩波ジュニア新書)

内田 樹『寝ながら学べる構造主義』文春新書、2002年
中国思想史 上 (レグルス文庫 96)

中国思想史 上 (レグルス文庫 96)

中国思想史 下    レグルス文庫 97

中国思想史 下  レグルス文庫 97

阿刀田 高『旧約聖書を知っていますか』新潮文庫、1994年
〃『新約聖書を知っていますか』新潮文庫、1996年
〃『コーランを知っていますか』新潮文庫、2005年

プラトンゴルギアス』加来 彰俊訳、岩波文庫、1967年
清水 多吉『西周―兵馬の権はいずこにありや』ミネルヴァ書房、2010年
山本 貴光『「百学連環」を読む』三省堂、2016年
宇野 重規『トクヴィル 平等と不平等の理論家』講談社選書メチエ、2007年
架神 恭介『よいこの君主論ちくま文庫、2009年
 本当はもっとたくさん挙げたいが、とりあえず。とくに人文学をやる上で、西洋の社会や学問の前提にある聖書にかんする基礎知識は不可欠。高校ではあまり教えられないので、読んでみよう。


・その他

読書術 (岩波現代文庫)

読書術 (岩波現代文庫)

外山 滋比古『思考の整理学』ちくま文庫、1986年
図書館に訊け! (ちくま新書)

図書館に訊け! (ちくま新書)

山岡 光治『地図に訊け!』ちくま新書、2007年
石原 千秋『教養としての大学受験国語』ちくま新書、2000年
西郷 信綱『日本の古代語を探る―詩学への道』集英社新書、2005年
岡本 太郎『自分の中に毒を持て』青春出版社、2002年
長谷部 恭男『憲法とは何か』岩波新書、2006年
早尾 貴紀『国ってなんだろう?』平凡社、2016年
山口 昌男『道化の民俗学岩波現代文庫、2007年
蓮實 重彦『夏目漱石論』講談社文芸文庫、2012年
職業としての学問 (岩波文庫)

職業としての学問 (岩波文庫)

V.E.フランクル『夜と霧――ドイツ強制収容所の体験記録』霜山 徳爾訳、みすず書房、1985年
木村 涼子ほか『よくわかるジェンダー・スタディーズ』ミネルヴァ書房、2013年
吉川 浩満『理不尽な進化: 遺伝子と運のあいだ』朝日出版社、2014年
ミシェル パストゥロー『熊の歴史』平野 隆文訳、筑摩書房、2014年
 人文分野の新しい情報については、月刊誌「みすず」が毎年1月に出す「読者アンケート号」をチェックすべし。


・文学・小説など(個人的なおすすめ)
森 鴎外
本気なら『鴎外全集』岩波書店(全38巻、旧字)、ライトになら『森鴎外全集』(ちくま文庫、現代仮名遣い)がおすすめ。ちなみに、ほとんど「青空文庫」で読めます。
中原中也中原中也全詩集』角川ソフィア文庫、2007年
トゥルゲーネフ『初恋』沼野 恭子訳、光文社古典新訳文庫、2006年
ドストエフスキー罪と罰(上・下)』工藤 精一郎訳、新潮文庫、1987年
カフカカフカ短篇集』池内 紀訳、岩波文庫、1987年
サリンジャーライ麦畑でつかまえて』野崎 孝訳、白水Uブックス、1984年
〃『ナイン・ストーリーズ』野崎 孝訳、新潮文庫、1974年
ヘミングウェイ『移動祝祭日』高見 浩訳、新潮文庫、2009年
村上春樹世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド(上・下)』新潮文庫、2010年
〃『村上春樹 ねじまき鳥クロニクル(1・2・3)』新潮文庫、1997年
沢木 耕太郎『深夜特急(1−6)』新潮文庫、1994年
カート・ヴォネガット・ジュニアタイタンの妖女浅倉久志訳、ハヤカワ文庫SF、2009年
石牟礼 道子『苦海浄土』講談社文庫、2004年
三島 由紀夫『金閣寺新潮文庫、2003年
ヴォルテールカンディード』斉藤 悦則訳、光文社古典新訳文庫、2015年
ガブリエル ガルシア=マルケス百年の孤独』新潮社、2006年
ホルヘ・ルイス ボルヘス『永遠の歴史』土岐 恒二訳、ちくま学芸文庫、2011年
ローラン・ビネ『HHhH』高橋 啓訳、東京創元社、2013年
奥泉 光『東京自叙伝』集英社、2014年
辺見庸『増補版 1★9★3★7』河出書房新社、2016年